Prolactinの胎仔肺成熟促進作用の生化学的研究
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概要
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胎仔肺成熟がProlactin(PRL)により促進されると云う報告はあるが、PRLによって増加するsurfactantの燐脂質、脂肪酸構成については検討されていない。我々はラット胎仔でのPRL投与によるsurfactantの変化を生化学的に検討を加え、次の成績を得た。(1)ovine-PRL(oPRL)投与により、ラット胎仔肺の総燐脂質が有意に増加することを認めた。(2)o-PRL投与による増加した総燐脂質のうちにphosphatidylcholine(PC)のみ、有意に増加した。(3)o-PRL投与により増加したPCの脂肪酸構成を見ると、C_<16 : 0> palmiticacidが有意に増加していた。(4)o-PRL投与後のラット胎仔肺のdisaturatedphosphatidylcholine(DSPC)も有意に増加した。(5)o-PRL投与24時間後にラット胎仔血清中corticosterone値はピークに達し、その後漸次減少するのに対し、胎仔肺DSPCはo-PRL投与24時間後から有意に増加を示しはじめ、72時間後に最高値に達する。以上、o-PRL投与によるラット胎仔肺の成熟促進作用を生化学的に証明した。また、PRLによるラット胎仔肺成熟促進作用のmechanismはPRLで元進した内因性glucocorticoidの肺II型細胞におけるreceptorとの結合による肺成熟と云う間接的作用が主体で、さらにPRLが肺II型細胞のPRLreceptorとの結合による直接作用もあることを示唆した。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-03-01