母体腹部体表筋電図に関する研究 : その意義と臨床応用
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概要
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本研究は無侵襲・無拘束により記録した母体腹部体表筋電図(以下MAS-EMGと略す)の意義を認め,初産40例・経産50例の記録の分析,処理により,実用的・客観的分娩進行情報となることを明確にした. すなわち,1)明瞭なMAS-EMGを至適フィルタ[低域遮断フィルタ(時定数0.003s),高域遮断フィルタ(150Hz),ノッチフィルタ(50Hz)]により雑音成分を除去し記録した.2)MAS-EMGは子宮収縮に同期し加速期〜急昇期に断続的に発現,律動性を維持しながら分娩進行に伴つてダイナミックに漸増した.3)分娩進行情報として有効なMAS-EMGの周波数帯域は10〜110Hzであつた.4)MAS-EMGの振幅特性は,左側が右側よりも大きく,とくに左外腹斜筋部が高電位を示した.5)MAS-EMGの発現順位は,左外腹斜筋部→左内腹斜筋部→左腹横筋部と右外腹斜筋部の順位で多くの場合発現した.6)MAS-EMGのピークホールド曲線は,正常分娩・異常分娩で特徴的なパターン差を示した.7)MAS-EMGの振幅波形は,分娩時の不随意的・反射的怒責「いきみ」の効果を知る有効な情報となつた.
- 1985-09-01