児出生直前直後の心拍数変動と臍帯動脈血所見に関する研究
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概要
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児出生直前直後の心拍数を連続的に記録し,臍帯動脈血ガス分析値と比較検討することにより,出生直前の胎児心拍数変動の意義及び出生直後の新生児心拍数変動からみた児の適応過程について検討した.対象は在胎37〜42週の頭位経腟分娩児62例で,1分Apgar scoreは全例7点以上であつた.胎児心拍数は直接誘導胎児心電信号及び超音波ドプラ胎児信号を用い,また新生児心拍数は無線テレメータ心電送信器・受信機を用い,両者とも自己相関計式心拍数計により記録し,その解析に自動胎児診断補助装置を利用した.臍帯動脈血ガス分析には全自動Radiometer ABL-IIを用い,以下の結果を得た.(1)出生直前の胎児心拍数変動パターンは,正常型(32例,51%),高度変動一過性徐脈型(25例,40%),徐脈型(5例,9%)の3型に分類された.また臍帯動脈血pH<7.250の低pH群は13例で,そのうち10例は高度変動一過性徐脈型,3例は正常型(全例吸引分娩例)であつた.(2)高度変動一過性徐脈型で低pH群10例はその発生から出生までに9.5±5.4分を要しており,pH≧7.250の高pH群15例の4.7±4.4分に比し,有意に長時間であつた.(3)出生前15分間に1回以上の一過性頻脈(持続15秒以上,振幅15bpm以上)をみた19例は全例高pH群に属した.(4)出生後,新生児は平均2.8分後に平均192bpmのピーク心拍数に達したが,低pH群では4.0±2.6分後に198.5±9.9bpmのピークに達し,高pH群の2.3±1.8分,190.2±11.3bpmに比し,ピーク到達に時間を要するとともに,頻脈が高度であることがわかつた.また臍帯動脈血BEとピーク到達時間,ピーク心拍数との間にはそれぞれr=-0.37,r=-0.27の有意な逆相関関係があつた.(5)低pH群と高pH群では胎児心拍数基線に差はないが,新生児心拍数基線は低pH群の方が高く,とくに出生後0〜5分,5〜10分間の新生児心拍数基線には,BEとの問にr=-0.46,r=-0.35の有意な逆相関関係を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-10-01
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