男女両性における下垂体-性腺系機能の比較について
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概要
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成年期から老年期の健常な男女において,血中estradiol(E_2),progesterone(P),testosterone(T),FSH,LH,prolactin(PRL),TSHをradioimmunoassayで測定し,男女両性における加齢に伴う下垂体一性腺系機能の推移について比較検討し,以下の結果を得た.E_2は,男性では加齢に伴う著明な変化はなかったが,女性では50歳代で急減し,以後は漸減した.E_2の男女差は,50歳未満では女性が著高を示したが,50歳以後では明らかな差はなかつた.Pは,男女ともに30歳代に比べ40歳以後は低値を示し,女性では加齢に伴いさらに漸減したが,各年代を通じ明らかな男女差はなかつた.Tは,男性では高齢までほぼ一定の値を保つたが,75歳以後ではやや低下傾向を示した。女性では50歳以後明らかに低下した。男女差については,各年代を通じ男性が著高(約7一23倍)を示した,FSH,LHは,男性ではFSHは45一49歳,LHは60一64歳で有意に高値を示し,以後は漸増した.女性では,男性に比べ急激な変化を示し,いずれも40歳代より増加傾向を示し,50歳代で急増し,以後は90歳代まで高値を維持した.男女差については,30一49歳では差はなかつたが,50歳以後は明らかに女性が高値(FSHは約3一7倍,LHは約1.5一5倍)であった。PRLは,男性では30歳代に比べ65歳以後は一般に高値であった.女性では,50歳代はやや低値,70歳以後は高値の傾向を示した。しかし,各年代を通じ明らかな男女差はたかった.TSHは,男女(女性は60歳以上)ともに加齢に伴う変化はなく,また男女差もなかった.男性における下垂体のLH-RHに対する反応の変化は,成年より老年に至るまでほぽ同程度の反応を示したが,60歳以後では反応の遅延がみられた.
- 1982-12-01