ヒト子宮頚癌株(SKG-1)の樹立とその性状
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概要
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ヒトの子宮頚部扁平上皮癌の初代培養を行い, 4回のコロニークローニングの後, 癌細胞の純培養系である細胞株(SKG-1)を樹立した. 本細胞は初代培養後6年を経過した現在でも安定した増殖力を示している. 培養細胞は多角形で上皮性敷石状に配列し, 接触阻止がおこらず容易に pile up する傾向がみられる. 電顕的には細胞質内の多量の tonofilament および, 隣接細胞とのあいだに desmosome を有する細胞と, 細胞質内に多量の glycogen を有する細胞の2種類が存在する. 倍加時間は35〜42時間で, コロニー形成率は70〜80%である. 染色体は63〜238個と異数性に幅広く分布し, 74, 75のものが最も高頻度にみられる. 核型分析では明らかなマーカー染色体は認められないが, 多くの細胞でA群が8本の染色体より構成させている. 培養初期においては, 培養細胞に耐熱性(65℃, 30分)L-phenylalanine 感受性 Alkaline Phosphatase(Reagan_like ALP) がみられる. また, SKG-1 は nude mouse への異種移植が可能で, 原腫瘍と類似した組織型を呈する腫瘍が形成され, 同腫瘍中にもReagan_like ALP がみられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-08-01