正常子宮体内膜および体癌におけるAlkaline Phosphataseの組織化学的研究 : 耐熱性試験,L-Phenylalanine抑制試験を中心にして
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
癌由来の胎盤性Alkaline Phosphatase(ALP)はRegan Isoenzymeとよばれ, 腫瘍が異所的に産生する酵素として注目されている.そこで著者は正常子宮体内膜(以下体内膜と略)と子宮体内膜腺癌(以下体癌と略)について, 塗抹細胞および組織切片を用いて酵素組織化学的にoncodevelopmental proteinの一つであるRegan-like Isoenzymeの有無を検討した。1.正常体内膜(1)非特異性ALP活性:体内膜にみられる非特異性ALPは, 内膜周期の各時期によつてその活性の強さや, 陽性部位の範囲が変動し, estrogen値の消長と相関する傾向がみられた.(2)ALP活性の耐熱性試験およびL-Pheny1alanine(以下L-pと略)抑制試験:体内膜のALPは熱感受性でL-pに軽度〜中等度の感受性を示した.また少数例ではあるが被覆上皮の一部に, 従来正常細胞には存在しないとされている耐熱性でL-p感受性のALPを, つまりRegan-like Isoenzymeを認めた.2.体癌(1)非特異性ALP活性:癌組織のいずれかの部位にALP活性が全例にみられた.(2)ALP活性の耐熱性試験およびL-p抑制試験:耐熱性ALPは42例中19例(45.2%)の組織切片中のいずれかの部位に認められ, またL-p抑制試験では, 全例にみられたALP活性は, L-p抑制試験に対し軽度〜高度感受性を示した.3.組織化学的手技により, 正常体内膜では被覆上皮の極く一部にしかみられないRegan-like Isoenzymeが体癌では高頻度に出現することは, 体癌発生過程における「酵素偏椅」の存在が示唆される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-07-01
著者
関連論文
- 5.新たに樹立した子宮頸癌株(SKG-1)のAlkaline Phosphataseの組織化学的研究(婦人科1, 一般演題, 第19回日本臨床細胞学会総会)
- 3.細胞診断における採取法による差異 : 綿棒と木製スパーテルについて(子宮頸部境界病変および早期癌における細胞採取法の問題点, シンポジウムIII, 第19回日本臨床細胞学会総会)
- 子宮の正常細胞および癌細胞におけるAlkaline Phosphataseの細胞化学的研究
- 4.Reserve Cell Hyperplasiaと炎症(非癌性病変特に炎症と再生および化生について, シンポジウムI, 第16回日本臨床細胞学会秋季大会)
- 15.子宮頸部濾胞性頸管炎について(婦人科, 示説, 第20回日本臨床細胞学会総会抄録)
- 149.卵巣筋肉腫の細胞像およびin vitroにおける細胞特性について(婦人科, 示説, 第20回日本臨床細胞学会総会抄録)
- 正常子宮体内膜および体癌におけるAlkaline Phosphataseの組織化学的研究 : 耐熱性試験,L-Phenylalanine抑制試験を中心にして