ヒト卵巣Yolk sac tumorの電子顕微鏡的研究 : ヒトYolk sacとの比較検討による組織由来の考察
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概要
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Yolk sac tumorの組織由来を検討するため, 本腫瘍7例, ヒトyolk sac9例につき, 組織学的, '電顕的および螢光抗体法により検索し, 以下の如き知見を得た.妊娠7週以前のyolk sac endodemal cellは電顕的に微絨毛, ロゼつトを形成する豊富なグリコーゲン, 層状の粗面小胞体, 粗面小胞体と密に関係して存在する糸粒体および細胞質内の高電子密度の類円形の穎粒などがみられ, 光顕的にはジアスターゼ消化低抗性PAS反応陽性を示した.妊娠8週以後では形態的に退縮傾向を示した.本腫瘍は光顕上Schiller-Duval body, endodemal sinus structureおよびclear-cells entoblastic patternから成るが, これらを構成する腫瘍細胞は微細構造上ほぼ共通した所見を呈している.本腫瘍とヒトyolk sacの超微形態学的類似性は妊娠7週以前のyolk sac endodermに求められる.さらに詳細に検討すると, Schiller-Dural bodyのepithel mantlingを形成する腫瘍細胞は, 豊富なグリコーゲン穎粒, 粗面小胞体, 糸粒体, 細胞表面の短く不規則な徴絨毛および紐状のnucleolonemaを持つ著明な核小体を有する点において, yolk sacの卵黄嚢腔に面するendodermalによく類似している.Schiller-Duval bodyの血管内皮細胞に面する部分にある腫瘍細胞とendodermal sinus structureおよびclear-cells entoblastic pattemを構成する腫瘍細胞は細胞小器官の所見, 細胞外の無構造た基底膜様物質の存在, さらにtubular structureに類似の構造を認める点でyolk sacの間葉組織に面するendodemal cellに類似を求めることができる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-07-01