胎児・新生児における電解質平衡とrenin-angiotensin-aldosterone動態に関する研究
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概要
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胎児・新生児におけるrenin-angiotensin-aldosterone(R-A-ALDO)系と体液・電解質平衡との関連を知るため, 児娩出時より目齢第8日迄の血中動態を検討し, 以下の成績を得た.1.生下時体重が3.0kg以上の群で児娩出時のそれぞれの濃度を比較すると, ALDO, deoxycorticosterone(DOC)ならびにA-II, plasma renin activity(PRA)濃度は〓帯血, 18-hydroxycorticosterone(180H-B)およびACTH濃度は母体末梢血で高値となつた.一方, K^+値は膀帯血で高くNa^+, Cl^-値には母児間で相違がなかつた.2.〓帯動脈血のALDO濃度には18 0H-BあるいはACTH濃度と一定の相関性があり, DOCあるいはA-II, Na^+, K^+濃度の間に相関性を認めなかつた.膀帯動・静脈血間ではALDO, 18 OH-BおよびPRA間に, また動脈血のALDOと静脈血のDOC, 18 OH-B濃度間にそれぞれ相関性があり, A-IIとの間にそれを認めなかつた.3.生下時体重が2.5kg以下の群で児娩出時の濃度を比較すると, DOCとACTHは母体末梢血で高く, 18 OH-Bに相違がなく, ALDOおよびPRA, A-II, K^+は〓帯血, 殊に〓帯動脈血で明らかな高値となつた.これを3.0kg以上の群と比較すると, 動脈血のALDOおよびK^+濃度は高く, その他はいずれも低値であり, またALDO濃度はDOC, 18 OH-B濃度と相関し, -II, Na^+, K^+との間にそれを認めなかつた.4.新生児期におけるそれぞれの血中濃度の推移は特異的であり, 3.0kg以上の群では, DOCおよびPRA, A-II, ACTH濃度は日齢第1日いずれも急減するが, ALDO, 18 OH-B濃度は著増し, しかも〓帯動脈血濃度に比べて一層高値となり日齢第3日に至るも同様であつた.2.5kg以下の群でも, PRA, A-IIあるいはNa^+, K^+値はほぼ同一濃度推移を示すが, DOCは日齢第1日以降むしろ漸増し, ALDOは第1日, 18 OH-Bは第3日にいずれも急減した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-12-01
著者
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