妊娠,分娩時のヒト子宮筋Cytosol,Nuclear分画におけるEstrogen,Progesterone Receptorに関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヒト子宮筋におけるestrogn(E)とprogesterone(P)とのreceptor(R)levelの動態を知るためradioreceptor assayを用いて結合力学的な検討を行なつたうえ, それの分娩発来機構に占める役割を解析し, 以下の成績を得た.1.非妊(分泌期), 妊娠初, 中期および末期子宮筋のcytosol(C)分画における解離定数(Kd)値は, ERc, PRcともに有意の相遠を認めぬ一方, 結合部位数(NBS)値はERc:275.0±1.3, 5.5±0.1および10.0±2.0, PRc:2.5±0.5, 25.5±3.2および3.8±0.8(×10^<-15>mol/mg protein)となり, 前者は妊娠時に低下するが(p<0.01), 末期に再び漸増し(p<0.1), 後者は妊娠時に上昇し(p<0.01), 末期に減少する(p<0.05), 対礁的な推移を示すことになる.2.同様にnuclear(N)分配におけるacceptor(A)のNBS値は, EAn:4.0±1.5, 5.0±1.0および0.6±0.3, PAn:1.3±0.3, 1.2±0.5および0.3±0.1(×10^<-15>mol/μg DNA)となり, 両者とも末期に有意に減少することを認めた(p<0.05, p<0.1).3.自然陣痛の発来前後におけるcytosol分画のKd, NBSは, ERc, PRcのいずれにおいても相違を認めぬ一方, nuclear分画のNBS値は, EAn:0.6±0.3/4.3±1.0, PAn:0.3±0.1/3.3±0.8(×10^<-15>mol/μg DNA)となり, いずれも陣痛発来後, 有意に増加した(p<0.01).4.cytosol分画のERc/PRc比率よりみたKd値は, 妊娠経過, 陣痛発来の前後で変動がなく, NBS値は末期で明らかにERc優位となつた.一方, nuclear分画のERc/PRc比率よりみたNBS値は末期に低下し(p<0.05), 陣痛発来後, 一層低下した.したがつて, 分娩発来前はcytosol分画のERcが相対的に増加しPRcが減少する一方, nuclear分画においてはEAnが減少しPAnの増加をみるため, Eの活性化に対してPが不活化されることになり, 分娩の発来機構に与かつているものと思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-12-01
著者
関連論文
- 285.Gondotropin分泌機構におけるcatechol estrogenとprostaglandinとの中枢作用に関する研究 : 第76群不妊・避妊I
- 74.ヒト子宮筋細胞plasma membraneにおける oxytocin receptorに関する動的検討 : 第21群 内分泌・レセプターII
- 113. Receptor levelよりみたoxytocinとprostaglandinsとのヒト分娩発来機序に占める役割 : 第24群 妊娠・分娩・産褥・内分泌・代謝I
- ヒト子宮筋におけるoxytocin受容体の動態に関する研究
- l02.ヒトの陣痛発来機構における子宮筋のOxytocin及びsteroid receptor の局在変動とその意義 : 第20群 妊娠・分娩・産褥 生理 その2
- 101.ヒト子宮筋におけるoxytocin receptor の動的検討 : 第20群 妊娠・分娩・産褥 生理 その2
- 妊娠,分娩時のヒト子宮筋Cytosol,Nuclear分画におけるEstrogen,Progesterone Receptorに関する研究