子宮内膜症の偽妊娠療法時における血液凝固線溶能の変動に関する臨床的研究
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概要
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本研究は,エソドメトリオージスの偽妊娠治療時,及びその終了後における血液凝固線溶能の変動を検索するのを目的とした.Norethindrone 5mgとMestranol 0.05mgの合剤の長期間連続8カ月間投与をおこなった患者延べ31例を対象とし血液凝固系及び線溶系の検査を行った.凝固系検査は,血小板数,プロトロンビン時間(PT),活性部分トロンボプラスチン時間(APTT),フィブリノーゲン量(Fbg),ヘパプラスチソテスト(HPT),血漿アソチトロンビンIII量(ATIII)を測定した.線溶系検査は,プラスミノーゲン量(Plg),アンチプラスミン量(Antipl),フィブリノーゲン/フィブリン分解産物量(FDP)を測定した.その結果,エソドメトリオージス群と正常非姓婦人群との間で血液凝国系及び線溶系の測定結果に有意の差を認めなかった.偽妊娠療法時の凝固系検査では,血小板数は,治療2カ月より有意に増加(p<0.10)した.APTTは,治療2カ月より有意の短縮(P<0.05)を示した.またFbgは,治療3カ月より減少を示し,3,5,7,8カ月に有意の差を示した.ATIIIは,治療4カ月より有意の差をもって減少(p<0.05)を示した.線溶系検査では,P19は治療2カ月に増碗し,AntiPlは治療4カ月より減少し,5,6,8カ月に有意の差(p<0.05)を示した.偽妊娠療法終了後1週目においては,血小板数はなお増加した.APTTの有為な短縮,AT IIIの有意な減少を認めた.3週目においては,Antiplの有意な減少を示すだけであった.以上から合成ステロイド連続投与においては,投与2カ月より凝固亢進傾向を示し,その傾向は3カ月頃より次第に著明となることが示された.またそれに引き続いて,Antiplの減少より線溶活性が亢進する可能性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-08-01
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