頚管開大に及ぼす子宮収縮の効果に関する研究
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概要
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子宮収縮と頚管開大との関係を究明するために,高性能超小型圧カトランスジューサーを直接子宮腔内に挿入し子宮収縮を測定した.得られた子宮収縮曲線から5つのパラメーターを計測し,子宮頚管開大度別の変動を検討した.更に子宮口4cm開大時において,頚管を開大させるのに有効な収縮,無効な収縮についての検討を行った.(1)陣痛周期:子宮口7cm開大時より,初産婦,経産婦とも各開大度ごとに周期は短縮してくる.(2)収縮時間:各開大度問別の変化は初産婦,経産婦とも認めない,(3)収縮の高さ:初産婦では子宮口の開大に伴って圧は次第に上昇するが,経産婦では9cm開大まで圧の上昇はたく,10cmになって始めて上昇する.しかし全体としては初産婦より低い.(4)Peakまでの時間:初産婦,経産婦とも子宮口全開大に向かって時間は次第に短縮してくる.(5)収縮の立ち上り角度:初産婦,経産婦とも8cmm開大あたりから収縮は急激に角度を増して来る.以上5つのパラメーターにおいて初産婦と経産婦の比較も打つたが,収縮時間と収縮の高さに差を認めた以外は,両者の聞に有意差を認めなかった.(6)有効な収縮と無効な収縮の検討;経産婦の陣痛周期と,初産婦と経産婦のPeakまでの時間を除くすべてのパラメーターで有効た収縮と無効な収縮との間に有意の差を認めた.しかしその中でも収縮の高さと,収縮の立ち上り角度に顕著た差があり,この両者が特に分娩進行に大きな役割をはたしているのではないかという示唆が与えられた.初産婦と経産婦の有効な収縮を比べると両者の問に収縮時間,収縮の高さ,立ち上り角度に大き汰差を認めた.つまり経産婦の場合には,初産婦より収縮時間が短かく,圧が低く,立ち上り角度のゆるやかな弱い収縮により頚管が開大させられるという,常識的な結果が数値ではっきりと証明された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-08-01
著者
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