子宮頚部腺癌および混成癌の臨床病理学的研究
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概要
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本研究は,上皮内癌を含む子宮頚癌症例の摘出子宮について,従来の診断基準にとらわれずにその枠組みをとり法ずし腺管構造と粘液反応を指標として構造と機能の2つの面から頚癌の有する腺性格を検討することにより,子宮頚部腺癌および混成癌の病理緯織学的知見を整理し,さらにそれらの組織発生を明らかにすることを目的とした.また,これら術前の細胞診標本を詳細に検討し,細胞診を用いて癌組織の有する腺性格の有無とその程度を推定できるか否かについてあわせて検討し,以下の成績を得た(1)明らかな浸潤瘤128例のうち腺管構造を読め得るものは32.8%,粘液反応を呈するものは61.7%で,多少たりとも腺性格を有するものは66.4%にのぼった.(2)腺癌と扁平上皮癌の両性格をあわせもつものは全浸潤癌の56.2%を占めた,(3)混成癌のなりたちは子宮頚扁平上皮癌の母細胞の有する腺性格が癌の進展に伴い.明らかとなるbipotential differentiationによるものと思われるものが最も多く,その他腺癌の化生変化や衝突癌としてのなりたちによるものが少数存在した.(4)治療前の細胞診標本上の腺癌細胞,中間型癌細胞,扁平上皮癌細胞の出現パターンの検討にり頚部組織の有する腺性格の程度をある程度推定できた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-07-01