"punctation"及び"atypical vessels"の基礎的,臨床的研究
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概要
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子宮頚部の組織学的癌化の過程は,異型上皮→上皮内癌→初期浸潤癌→浸潤癌,という段階を経て起るとされており,コルポ診所見も当然この様な段階的把握が必要である.今回,著者は,摘出子宮を用いてこれら各病変に出現するpunctation及びatypical vesselsの血管鋳型を作製し,これを走査電子顕微鏡下に観察してその立体的血管構築像を明らかし,その結果とコルポ所見とを対比することにより,以下の結果を得た.(1)Punctationの立体的血管構築像は,上皮側突出血管,上皮下毛細血管網(net層),及びこれを支えるnet下血管の3層より成る.(2)上記3層のうち,上皮側突出血管がコルポ診上punctationとして捉えられている..(3)上皮側突出血管は,炎症ではhairpin 様 U-tum血管,異型上皮ではhairpin 様血管の集合,上皮内癌ではアスパラガス様,初期浸潤癌では花野菜様,と著しい形態的変化を示し,遂にはatypical vesselsへと移行する.(4)net層については,そのmeshは病変の進行と共に密と,たり,初期浸潤癌で破壊像が出現する.(5)net下血管では,病変の進行と共にnet層近くでの分岐が増加していく.(6)浸潤癌に於ては,net層の完全な消失に伴う血管3層構築の崩壊により,全く無秩序な血管構築像が出現する.(7)このように血管3層構築の変化のうち上皮側突出血管の変化が最も著しく,コルポ診上では赤点,赤点斑の大きさ,形態,配列の乱れという形でpunctationとして,又血管の走行の太さ,形態,連続性の乱れという形でatypical vesselsの変化として捉えられている.以上のことから,癌化過程の進行に伴う立体的微細血管構築の変化を十分理解した上で,これらコルポ診上に出現する血管像の解析を行えば,コルポ像のみからでもその病変進行度を推定することも十分可能であるという確信を得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-07-01
著者
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