新生仔肝解糖系に対する内分泌調節
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概要
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新生児適応過程における糖代謝系の意義は極めて高く,糖需要は増大するが,胎児期とは異なり母体からの糖供給が途絶するため,血糖維持については肝解糖系の機能が特に重視される.新生児においても成人と同様,肝解糖系は,基本的にはepinephrine, glucagonの調節をうけているが,肝解糖系に及ぼす両ホルモンの効果,相互作用などについては不明た点が少なくない.そこでラット新生仔肝における糖代謝の経目的推移とPerifusion systemによるepinephrineとglucagonの負荷実験から両ホルモンの肝解糖能を検討し,次の結論を得た.1)早期新生仔期において肝解糖系の光進は著しく,血糖維持は胎生末期に急増する肝グリコーゲンの供給に基づき,後期新生仔期では早期新生仔期と異なり,哺乳による血糖維持が確立するとともに肝グリコーゲンの再蓄積が認められた.2)早期新生仔期においてホルモンによる肝解糖能は,epinephrineの作用がglucagonの作用に優っていたが,両ホルモンの作用が確立するのは生後5日目以降であった.3)早期新生仔期から成熟期に至るまで,epinephrineはglucagonの肝からの糖放出作用を補っており,両ホルモンの作用は協調的であった.4)新生仔期の肝cyclic AMP系の動態は肝解糖系の経目的変動に一致し,epinephrineとglucagonの肝グリコーゲン分解の作用機序には,成熟期と同様cyclic AMP系が強く関与した.5)新生仔肝グリコーゲン量の経目的変動およびepinephrineとglucagonの負荷実験結果から生後3日の新生仔が,糖代謝におけるcitical periodであると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-05-01
著者
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