ヒト子宮頚管熟化と複合糖質に関する研究
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概要
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ヒト子宮頚管熟化における複合糖質の役割を明らかにする目的で,非妊娠時の増殖期と分泌期,および分娩後の子宮頚管の複合糖質とグリコーゲンを生化学的に分別し,定量して比較検討した. 1.水分含量および乾燥組織(g)当たりの全複合糖質量は,分娩後の方が非妊娠時より多かった.2.中性多糖画分てばグリコーゲンが分娩後に著しく少なく,中性糖蛋白は3組織間に差を認めたかった.3.酸性多糖画分では,分娩後にヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸AとC,ヘパラン硫酸および酸性糖蛋白が著しく増量し,デルマタン硫酸が減少していた.また,3組織のコンドロイチン硫酸AとCのchondroitinase AC-IIによる酵素消化後の不飽和二糖の検索ではΔDi-4Sが87〜90%で,残りがΔDi-6Sであり,いずれもコンドロイチン硫酸Aが大部分を占め,一方,ΔDi-0SやΔD1-diSが検出されず,これらの糖鎖中には脱硫酸化や過硫酸化された部分はほとんど存在しないものとみなされた.一方,デルマタン硫酸のchondroitinase ABC消化を行なった後の不飽和二糖の検索でも同様なパターンを示し,デルマタン硫酸がhybrid体である事が判明した.しかし,分娩時のもにΔDi-0Sも少量検出され,僅少ながら硫酸化されていたい二糖単位もこの糖鎖中に存在することが示唆された.4.酸性糖蛋白画分中に,硫酸化糖蛋白とシアロ糖蛋白が存在した.
- 1980-12-01