子宮頚癌におけるLMITの基礎的,臨床的検討
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概要
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細胞性免疫能のin vitroの検査法であるLMIT(Leukocyte Migration Inhibition Test)についての基礎的研究と,これを用いて子宮頚癌患者の免疫能の検討を行い,次の結果を得た.1)抗原としてPPDを用いた場合, その最適条件は,(a)PPD抗原濃度 100μg/ml,(b),Hemolysisは有効,(c)1 well 当たりの白血球数 3〜4×10^5/10μl(d) Preincubation 時間60分(e)培養時間18〜24時間,などであった.2)子宮頚癌の3M KCl抽出癌関連抗原(TAA)については,(a)抗原性の高いものと低いものとが認められた.(b)抗原性の高いものを混合抗原(3種)として使用した場合,至適濃度は500μg/mlであった.(c)この濃度において他癌(胃癌,肺癌等)および臍帯血との間に抗原の交叉性は認められなかった.3)子宮頚癌の非病変部にも,TAAの存在する可能性が示唆された.4)子宮頚癌患者の入院時のLMITは, MI値 85%以下を陽性とするとPPD 抗原100μg/mlでの陽性率は,非癌40%,0期55%,I期21%,II期31%,III期17%,IV期, 再発癌22%で,非癌,0期に比し進行期癌では陽性率が低かった.3M KClの抽出癌関連抗原 500μg/mlでの陽性率は,非癌7%,0期18%,I期29%,II期45%,III期43%,IV期,再発癌27%(子宮癌全体34%)で,II期,III期, 陽性率が高く認められた.5)手術によるLMITの変動は,PPD抗原では特に一定の傾向は認められなかったが,3M KCl抽出癌関連抗原では,手術により,MI値の上昇,すなわち陰性化する傾向が認められ,入院時のMI値陽性例9例中6例(67%)が退院時陰転化し,癌病巣の消失が示唆された.6)放射線療法によるLMITの変動は,入院時MI値陰性例では,PPD抗原,3M KCl抽出癌関連抗原ともに特に一定の傾向は認められなかった.しかし入院時MI値が陽性であった症例についてみると,3,000 R照射時に,PPD抗原では3例中3例が陰転化し,非特異的免疫能の低下を認めたが,3M KCl抽出癌関連抗原ではなお6例中4例のMI値が陽性で,特異的免疫能はある程度保たれていた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-12-01
著者
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