妊娠中・後期の子宮収縮と胎児・胎盤機能
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概要
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子宮収縮が胎児・胎盤機能に及ぼす影響を研究する為に,妊娠中・後期子宮収縮を外測法により測定,子宮収縮指数(中江指数-II)により表現,胎児・胎盤機能の状態を評価する母体尿中E_3,血中E_3,α-フェトプロテイン,HPL,P-LAP,CAP,HSAP率等の値を測定し,両者の関係を検討した. 1)正常妊娠子宮収縮指数は妊娠経過と共に増加,妊娠週数との相関係数は+0.45(p<0.01)である.2)正常妊娠胎児・胎盤機能は妊娠経過と共に増加,妊娠週数とは尿中E_3+0.61,血中E_3+0.70,α-フェトプロテイン+0.28,HPL+0.61,P-LAP+0.77,CAP+0.78,HSAP率+0.86(P<0.01)であり,7者共に相関を認めた.胎児・胎盤機能7者間(21通り)には,尿中E_3とα-フェトプロテインとの相関を除いて,相互に相関を認めた.3)正常妊娠に於て,妊娠週数の要素を除いた子宮収縮指数と胎児・胎盤機能との偏相関係数は,尿中E_3のみが-0.36と負の相関を認めた.すなわち子宮収縮が多くなると尿中E_3は減少する.また子宮収縮の要素を除いた尿中E_3と妊娠週数との偏相関係数は+0.69と上昇した.4)切迫流・早産例の治療前の子宮収縮指数は正常例より有意に上昇(T_0=5・4)尿中Elは有意に減少(T_0=2.2)するが治療によって正常例と同様の値となった.5)切迫流・早産治療中の症例に於て子宮収縮指数は妊娠週数と相関を認めないが,胎児・胎盤機能は正常例と同様の相関を認めた.6)切迫流・早産治療終了後の子宮収縮指数,胎児・胎盤機能は正常例と同様な値に戻った.7)日差変動については,子宮収縮の多い日は尿中E_3のみが減少する(X^2_0=7.59).8)頚管縫縮術前後の血中胎児・胎盤機能では血中E_3のみが子宮収縮の増減と共に増減した.また切迫流・早産の症例に硫酸テルブタリンを使用すると血中E_3は減少,治療終了後に上昇した.血中E_3と尿中E_3は子宮収縮では逆相関を示すが,その原因はutero-renal reflexの存在を示唆している.9)胎児・胎盤機能の変動係数はHSAP率が少なく血中E_3が大きい.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-11-01
著者
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