正常妊娠,分娩,産褥期ならびに胎児におけるAlternative pathwayを中心とした補体系の動態とその臨床的意義
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概要
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正常妊娠,分娩,産褥期における母体血中補体系のうち,特に原始的生体防禦系としてのalternative pathwayを中心に測定して次の結果を得た.1)Alternative pathwayの活性(AlCH50)は成人健康婦人では18.3±1.1で,妊娠時stageの進行と典に上昇し,後期で26.6±2.3と有意の高値を示した.分娩時は一過性の減少領肉を示すが,産褥初期再び上昇し,分娩約1カ月後に成人健康婦人レベルに復帰した。2)C3 proactivator (C3PA)は,妊娠時平均22.5±0.4mg/dlで,成人健康婦人18.1±0.4mg/dlに比し有意の高値を示し,3カ月より10カ月まで一貫して高値を持続した.分娩時,一過性の減少を示すが,産褥第2日で急上昇し,第2週にいたるまで著しい高値(29.4±1.0mg/dl)を示した. 分娩後約1カ月で成人健康婦人レベルに移行し,AlCH50と同じ傾向を示した.3)β1C/1A globulin (C3)は成人健康婦人で60.7±2.1mg/dl妊娠初期では66.9±1.7mg/dlと増加し,中期では更に上昇し,後期では87.5±2.8mg/dlと著しい高値を認めた.4)CH50は成人健康婦人で42.3±2.5,妊娠初期で51.5±4.7を示し,その後上昇して後期で60.6±4.3と有意のの高値を示した.5)β1Eglobulin(C4)は妊娠初期に高値(41.6±2.9mg/dl)を示し,その後減少傾向が認められたが成人健康婦人レペル(32.9±3.5mg/dl)以上であつた.6)C1 INAは妊娠の進行につれて低下し,後期には25.0±2.7mg/dlと成人健康婦人レペル(38.8±3.6mg/dl)に比し有意の減少を示した.2.胎児(在胎39〜42週)の補体系ではA1CH50,C3PA,C3,CH50,C4は成人補体の約1/2のレペルを示した.結論.細胞性免疫の減弱性変調を示す妊娠時alternative pathwayを主体とした補体活性準備状態が亢進していることを明らかにした.この補体活性の上昇はprimitiveな生体防衛反応と考えられ,合目的代償機能の存在を示唆している.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-01-01
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