産婦腹部インピーダンス変動に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
分娩時母体の種々の部位の2電極法インピーダンス曲線と外側子宮収縮曲線を同時記録して検討した.1)腹部と対応背部に電極をおくイソビーダンス曲線は41例中38例(92.7%)に記録可能で,インピーダンス曲線と子宮収縮曲線は一見よく似ていたが,変動持続時間には差があり,また,変動開始点,ピーク点,終了点のそれぞれ両曲線間に数秒〜1O数秒の不規則な時間差がみられたので,インピーダンス曲線が両皮膚電極間の距離の変化だけを示すものとは考えにくい.2)前腹壁,前腕内側及び大腿外側の皮膚上でも子宮収縮に伴なうインピーダンス曲線がえられた.いずれも子宮収縮曲線とそのピーク点に時間差を認める場合が多かった.3)子宮収縮時には11例中6例(54.5%)に母体心拍数減少がみられた.アトロピン投与では心拍数が増加した場合もあったが,前腕のインピーダンス曲線には変化がみられなかった.4)分娩時母体収縮期血圧及び拡張期血圧は,ともに子宮弛緩時よりも子宮収縮時に高かった.5)本法によれば分娩第一期から曲線がえられ,子宮収縮の存在を知ることが可能であるが,子宮収縮のパラメータを精密に測定することは困難で,子宮収縮時における母体の反応としての自律神経変動に基づく変化をも含むものと思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-02-01