絨毛性腫瘍に対する超音波断層法の診断的価値
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概要
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胞状奇胎掻爬後の一環として172人の患者に延ベ1,166回の超音波断層法を施行し,子宮内エコーと尿中hCG値,PAG,HSGおよび治療経過との関係について検討し,次の結果を得た.1)奇胎掻爬4週以後,尿中hcG値1,000iu/l以上の群(Group I)では93例中83例(89.2%)に子宮内エコーが認められた.尿中hcG値1,000iu/l未満の群(GroupII)では79例中22例(27.9%)に子宮内エコーが認められた.2)子宮内エコーの大きさと尿中hCG値との関係は治療群においてy=6587.2x-113885.7,P<O.OO1であり,相関が認められた.3)子宮内エコーの認められた105例中66例(62.9%)は続発性腫瘍として治療を受けた.又,エコーの認められなかった67例中8例(11.9%)は続発性腫瘍として治療を受けた.4)子宮内エコーの大きさをIからIV型に分類すると,治療群の83.3%はIII型とIV型であり,非治療群の71.8%はI型とII型であった.5)手術施行した24例中22例(91.7%)は術前の超音波断層像にて増大した子宮内にエコーの増加が認められ,手術摘出標本の大きさと場所がほぼ一致していた.6)化学療法のみ施行した50例中44例(88%)は増大した子宮内にエコーの増加が認められ,又,化学療法効果判定に有効であった.7)超音波断層法の所見はPAGとHSGの所見とよく一致していた.8)黄体嚢胞は28.6%に認められ,このうちGroup Iでは37.6%,Group IIでは11.3%であった.超音波断層法は患者に全く信襲を加えることなく反復施行し得る検査法として続発性腫瘍の診断,治療効果判定に有用である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-10-01