胎児血液の粘度ならびに粘弾性に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
胎児・胎盤系の血液循環を考慮する場合に,循環の受動因子たる血液の流動的(レオロジー的)性質を無視することはできない.今回われわれは正常満期産分娩児の勝帯血液の粘度ならびに動的精弾性率を測定し,正常成人女子の値と比較検討した結果,胎児血液には下記の如きレオロジー的特徴があることが判明した.1)胎児血液の粘度(ずり速度:1〜3sec^-^1)は成人より有意に高値である.粘度とヘマトクリット値とは有意の正の相関関係にあり,両者における血液粘度の差異は主としてヘマトクリット値の差にもとづくと考えられる.2)血液の動的粘弾性のうち年生用祖を表す損失弾性率(dynamic loss modulus,G'')は退治血液が成人血液より有意に高値を示した.粘度の場合と同様に,G''値は成人血液より有意に低値を示した.胎児は比較的低酸素状態の子宮内の環境に適応する為に赤血球数が多く,ヘマトクリット値が高い.そのために胎児の血液粘度高くなり,特に血流速度が遅い(ずり速度が低い)微小循環の領域ではその上昇が著しく,血液が非常に流れにくい状態であると考えられている.しかし,一方,胎児血液には,成人に比較して血液をより流れやすくさせる性質も存在し,ヘマトクリットが高いという循環にとってマイナス面を補う機序が存在することが判明した.
- 1979-01-01
論文 | ランダム
- バイオニクスの現況と生物工学の将来 (バイオニクスへの招待(特集))
- 肺癌に対する拡大手術
- 気管・気管支内腔発育腫瘍の外科的治療
- 神奈川県臨海地区おける大気中有機ハロゲン化合物濃度
- 特発性心筋症の心音図所見 : 第37回日本循環器学会近畿地方会