婦人科悪性腫瘍患者における胸腺依存リンパ系の予備能について
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概要
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婦人科悪性腫瘍患者を対象とし,その細胞性免疫能,特に予備能を測定し,予後判定の資料とする事を目的として,A)大川のTGDSによって動員されるリソパ球を測定しscoreで表わし(胸腺依存リソパ系予備機能テスト),B)細胞電気泳動法を用い,大川のTGDSを作用させてT-cellを測定し,同時にC)遅延型皮膚反応6種を試み以下の成績を得た.(1)胸腺依存リソパ系予備機能テストの病期別scoreは,子宮頚癌でTIS:19.73,T1:15.73,T2:13.O,T3:12.77,T4:11.11と進行と共に着実に低下し,scoreが20以上の症例では約80%が予後良好であり,10以下では約半数が予後不良であった.[○!2]末梢血T-cellの症期別の平均 (/mm^3)は,子宮頚癌TIS:109.4,T1:780.5,T2:536.3, T3:432.0,T4:269.0と病気の進行と共に減少しており,400/mm^3以上の症例では90%が予後良好である一方,400/mm^3以下では約90%が予後不良であった.[○!3]胸腺リンパ系予備機能テストにより動員されたT-cell数の子宮頚癌における症期別平均(/mm^3)は,TIS:270.4,T1:326.6,T2:238.8,T3:147.8,T4:86.6であり,重症程動員数は減少し,150/mm^3以上動員される場合は88.0%が予後良好であり,以下の症例では76.5%が予後不良であった.[○!4]遅延型皮膚反応6種の平均陽性率(%)は頚癌でTIS:68.5,T1:68.3,T2:57.6,T3,4:44.5であり,治療後DNCBが陽性化した症例では90%が,PPDでは約80%が予後良好であったが,逆に陰性化した症例ではDNCB,PPDとも約50%が予後不良であった.又予備機能スコアが20以上,T-cell数が400/mm^3以上及びTGDSで動員されるT-cell数が150/mm^3以上の症例では,皮膚反応の陽性率が圧倒的に高かった.以上4つの方法により,刻々と変化する細胞性免疫能の現能力と予備能力との両方を,臨床的に容易に測定する事が出来,その成績は予後と密接な関係があることが分かり,悪性腫瘍患者を臨床的に管理する上に,大いに有用であり,不可欠と考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-01-01
著者
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