夫婦間のHLA抗原差からみた妊娠現象の免疫学的研究
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概要
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ヒト主要組織適合性抗原に対応する抗白血球抗体が,妊婦血清中に存在することが知られている.しかし,その抗体が妊娠現象にいかなる影響を与えているかは明らかでない.この抗白血球抗体は胎児組織適合性抗原が刺激となつて母体血液中に産生されてくると考えられるが,今回,その抗体特異性とその夫婦のリンパ球型(HLA type)の相異との関連について検討した. 1) 180名の正常妊産婦血清のうち,抗白血球抗体陽性(死細胞数50%以上)は37例(20.5%)であり,そのうち,強陽性(死細胞数90%以上)は14例(7.7%)であつた. 2) 26組の夫婦のうち,4例は夫のリンパ球に対して強陽性反応を示した. 3) 26組の夫婦の抗原差の有無と,その妊婦の強陽性抗血清の有無により (1) 夫婦の抗原差があり,その妊婦に抗体が産生されているグループ (2) 夫婦の抗原差があるが,抗体産生のないグループ (3) 夫婦の抗原差がないが,抗体産生のあるグループ (4) 夫婦の抗原差もなく,抗体も産生されていないグループの4グループに分けられ,それぞれ,3組,15組,2組,6組であつた. 4) 以上のうち,夫婦に抗原差があり,その妊婦に抗体が産生されている3組について,HLA特異性より検討すると,妊婦になく,その夫に存在する抗原の刺激によつて,その妊婦に抗体が産生されていることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-07-01
著者
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