予定日超過,妊娠中毒症,SFDにおける胎盤の組織化学的研究
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概要
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予定日超過,妊娠中毒症,SFDの胎盤と満期産正常分娩の胎盤とを総計82例の胎盤を用い,胎児栄養補給やガス代謝,ホルモン分泌,酵素などの機能面ともつとも関係を有すると考えられる絨毛枝について組織化学的に比較検討し胎盤機能の一端を推察する目的で本研究を行い次の結果を得た. (1) 絨毛枝上皮所見 i) Feulgen反応:(a)絨毛枝をとり囲む絨毛上皮層のsyncytium細胞の核質は主として顆粒状を呈する.(b)S.K.の細胞の核質は顆粒状を呈するものと凝集状を呈するものとに大別でき,その出現比率(顆/凝)は正常分娩→予定日超過→妊娠中毒症→SFDの順に減少していく. ii) Methyl-Green-Pyromin染色:正常分娩,予定日超過,妊娠中毒症の絨毛枝では絨毛上皮層およびS.K.とも比較的濃染するが,SFDにおいては淡染する傾向にある. (2) 絨毛枝気質所見 基質に存在する酸性粘液多糖類は主としてhyaruronic acidでColoid鉄法によるとSFDでは淡染,他の症例では比較的濃染するが,妊娠中毒症,特に分娩子癇,子宮内胎児死亡の場合は強く濃染する傾向がある. これらの所見から母体や胎児と胎盤との関係は胎盤の純形態学的所見よりも胎盤の組織化学的所見すなわち機能形態学とより密接な関係のあることが示唆される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-03-01