子宮頚部病変に対する凍結手術の基礎的ならびに臨床的研究
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概要
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本研究は低温の組織破壊作用や免疫誘発効果などが悪性病変も含む子宮頚部の病変に対して新しい治療法になりうるか否かを検討する目的で行なわれた.その結果, 1) ハムスターの肝臓を用いて-60℃1分間の凍結をすると,凍結後2時間くらいまで血管の拡張程度で組織学的にそれほど変化は著明でなかつたが,3時間後には明らかに凍結域と非凍結域との分解線が形成された.凍結域の組織変化は-60℃でも-190℃でも同様に起つた. 2) Waler腫瘍に対する凍結手術では,全例に一時的に腫瘍の縮小を認め,凍結後再発例でも急激な腫瘍の増大や転移促進などは認められなかつた.凍結手術後の再移植では自然退縮が多く観察された. 3) 子宮膣部良性びらんに対する凍結手術において,びらん面の面積縮小率を計測して治療効果を判定した.凍結手術後10週間でびらん面が治療前の20%以下に縮小したものを有効とすると,1回の凍結では72%,2回目を施行すれば89%に有効という効果があつた.なお,凍結手術後1週間目の時点ではびらん面の拡大が20〜30%にとどまるものに良好な治癒が多かつた. 4) 子宮頚部境界性病変に対して凍結手術を行ない2年以上追跡した結果91%に異型細胞の消失をみた.対象として病変が頚管内に及んでいるもの以外を選ぶことができらば,凍結手術は子宮癌発生の予防的処置になりうる可能性が考えられた. 5) 子宮頚癌に対する凍結手術の効果をみるため広汎性子宮全摘術の予定されている13例に対して凍結手術を行なつた後,摘出標本の大割切片で調べてみると,3例は癌細胞の完全消失をみたが,10例には癌細胞の遺残が認めらた.
- 1976-03-01
著者
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