改良した機器による超音波断層法の臨床的アプローチ
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概要
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超音波断層法は,産婦人科領域における有用な診断法として,近年,その臨床的価値は高く評価せられて来た.しかし,現時点における機器の性能として,尚改良の余地は多くあるように思われる. 著者は,その機器の機構上の一部を改良して,より詳細な超音波断層像を得ることが出来るよう試み,すでに報告してきた. 本機器により得られた超音波断層像は,極めて高い解像力と広帯域増幅能を有した画像であり,特に組織内echoの表示がすぐれていることから,妊娠初期子宮内echoの解析に有用であつた.妊娠初期子宮内echoの解析が可能となつた結果,妊娠5週より子宮筋層の内部に明瞭な脱落膜構築が観察でき,又妊娠6〜8週における初期胎盤像の確認,脱落膜構築の二重構造,明瞭な胎児像の同定等,従来得られなかつた妊娠子宮内の組織levelでの構築性の観察が可能となつた. この様に妊娠子宮内の構築性を観察出きることは,産科領域における診断法として,新しい方向を示唆するものと考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-10-01