子宮頚部の異型上皮, 上皮内癌および浸潤癌の核 DNA に関する研究
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概要
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扁平上皮中間細胞および予備細胞のほか, dysplasia 15例, 上皮内癌12例, 浸潤度3mm以内の微小癌5例および浸潤癌4例について, それらの核DNA量および核径を測定し, 次のごとき結果が得られた.1) 扁平上皮中間細胞の核DNA量(7.9±0.4A.U.)は2n, また予備細胞は3n域にそのmodeがみられた.2) 軽度 dysplasia の上半層では2n前後のものが多かつたが, 下半層では4〜6nまで分布するものもみられた.また中等度dysplasiaの上半層では2〜4n前後であつたが, 下半層では6n前後にまで分布するものがみられ, いずれの場合も下半層の方が高値を示した.3) これに対して, 高度 dysplasia では一般に比較的分布域が広く9〜12n付近におよぶものもみられた.しかも上下両層の問にほとんど差をみとめないか, あるいは下半層の方がやや高値であつた.4) 上皮内癌ではDNA量の分布域はきわめて広く, 2nより8〜10n域, あるいはそれ以上に広がつており, 上下両層間にほとんど差をみとめなかつた.上皮内癌の側方侵入部または腺内侵入先端部細胞のDNA量は他の部分と比較しでほとんど差がなく, わずかに高値を示すにすぎなかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-12-01