超音波断層法による妊娠初期胎盤付着部位診断とその臨床的意義
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概要
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胎盤付着部位異常として, 妊娠後半期では前置胎盤や低置胎盤の存在は広く認識されているが, 妊娠初期については有効な胎盤付着部位診断法がなかったため, 胎盤付着部位の差が妊娠経過にいかに影響するかは知られていない. そこで, 著者は超音波断層法を用いて妊娠初期における胎盤付着部位診断を試みるとともに胎盤付着部位を経時的に観察し, さらに子宮内における胎盤付着部位と妊娠経過との関係について検討した. 1) 超音波断層法による胎盤付着部位診断は妊娠初期剔出子宮割面と術前超音波断層像とから胎盤像判定基準を設定したところ, 早くて妊娠第8週頃より, 遅くとも妊娠第10週頃から可能と考えられた. 2) 胎盤付着部位は経時的に位置変化を示すものがあり, ことに妊娠初期から中期にかけて経時的付着部位変化が起り易く, しかも経妊婦に多くみられた. また, 胎盤には偏向性発育を示すものがあると考えられた. 3) 胎盤付着部位を高さ別, 前後壁別, 左右壁別の付着部位分類を行ない, 各付着部位と異常出血との関係について検討した. その結果, 前後壁別, 左右壁別付着部位の差と異常出血との間に顕著な差はみられなかったが, 高さ別付着部位との関係では, 妊娠初期, 晩期ともに高位, 低位付着例に異常出血の出現頻度が高く, この内, 妊娠晩期では低位付着胎盤に, 妊娠初期では高位付着胎盤に異常出血の出現頻度が高く, また高位のうちでも底部付着例は流産に至るものが多いことが注目された. 4) 胎盤付着部位の経時的変化と異常出血との関係では, 変化例に異常出血の出現頻度が高くみられ, また, 胎盤の発育方向も異常出血と密接な関係があると考えられた. これまで正常位胎盤とされていたもののうち, 高位とくに底部付着胎盤は妊娠初期における胎盤付着部位異常として考慮する必要があると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-11-01
著者
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