家兎を用いた子宮内膜癌の発生実験 特にその発生過程について
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概要
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2才以下の雑種雌性家兎を用い, (1) estrogen 単独投与, (2) 糖尿誘発後 estrogen 投与, (3) 20-MC 糸単独使用及び (4) 20-MC 糸後 estrogen 投与の4種の発癌実験を行い, 経時的に子宮内膜の組織検査を試みた. その結果 (1) いずれの実験においても, 日数の経過と共に, 子宮内膜の所見に増悪傾向がみられる. (2) その程度は, estrogen 単独投与で最も弱く, 糖尿誘発後 estrogen 投与がこれに次ぎ, 20-MC 糸単独使用では強く, 20-MC 後 estrogen 投与で最も強い. (3) 組織学的に腺癌と認められる変化は, 10ヶ月間の観察でいずれの実験においても認められたが, その発現頻度や発現時期には差が認められる. (4) estrogen 単独投与の発現頻度は18.2%, 糖尿誘発後 estrogen 投与では, 17.6%で差は認められないが, 後者の癌発現は前者よりやや早い. (5) 20-MC 糸単独使用群の癌発現率は33.3% 20-MC 後 estrogen 投与群では44.4%で 20-MC 使用を行わなかった群より高く, 特に estrogen 投与により上昇している. (6) 発癌2ヶ月前の所見より, 20-MC 糸を使用しなかったばあいの発癌過程は "Monophasic" 或いは突然的であり, 20-MC 糸使用群では, "Polyphasic" 或いは段階的であると認められる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-01-01