妊娠時の血中 testosterone 動態について
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概要
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competitive protein binding 法に若干の改良を加えて, これにより非妊時ならびに妊娠時の血漿中 testosterone の測定を行ない, その動態について検討した. すなわち, 母体末梢血中の testosterone 濃度は血漿100ml中, 非妊時では55.0±6.1mμg (平均値±標準偏差, 以下同様), 妊娠9〜12週では112,6±8.3mμg, 13〜16週では120.9±13.8mμg, 17〜20週では129.0±9.7mμg, 21〜24週では137.2±9.1mμg, 25〜28週では149.3±9.6mμg, 29〜32週では164.4±6.8mμg, 33〜36週では180.5±13.1mμg, 37〜40週では208.2±20.7mμgとなり, testosterone 濃度は妊娠の進行と共に漸増し40週にてピークを示し, 非妊時の約4倍量となる. 胎盤娩出直後では149.4±16.1mμg, 産褥第1日では100.4±7.2mμg, 第2日では88.2±9.8mμg, 第3日では66.4±6.8mμg, 第4日では54.4±10.1mμgとなり, 産褥第4日でほぼ非妊時に近い値となった. 一方, 正常分娩時の臍帯動脈管血中濃度は89.2±9.5mμg, 静脈管血中濃度は81.7±10.1mμgで全例において児の性別による有意の差は認められなかった. また胎盤後血中濃度は501.1±93.1mμgと高値を示した. 切迫流産における末梢血中濃度は, 妊娠12週までは123.1±5.0mμg, 13〜20週では128.4±6.5mμg, 21〜28週では165.3±10.6mμgと同一週数の正常妊娠のそれに比べるといずれも僅かではあるが高い値を示した妊娠中毒症例では37〜40週で249.0±9.6mμg, 同一週数の正常妊娠に比べて高濃度であった. 無脳児妊娠例では2例とも同一週数正常妊娠に比べて高濃度であった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-07-01