新生児無気肺の診断法に関する研究
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概要
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新生児の出生後, 第一声を契機とする肺循環の開始, 肺胞の拡張と呼吸機能の成立は, 児の予後に重要である. 新生児死亡, 特に未熟児死亡の過半数は肺胞拡張不全によるのであつて, これを的確に診断することは, 出生周辺に於ける児の管理の上で不可欠である. 著者は超音波診断法を新生児肺に用いて, 非観血的に肺胞拡張の状態を測定し, 従来不可能であつた新生児の局所的肺機能診断法に有用であることを知つた. 1)Aスコープ像では, 左右上, 中, 下肺野それぞれ特異な正常像が得られた. 2)呼吸障害を有する児の場合は, 中間エコー像の粗大化, 或いは, 全く新しい中間エコーの出現など, 一般に, 中間エコーが複雑となり, 背面エコーが減弱する. 3)超音波減衰量呼吸性変動値は, 測定の部位と日令とによつて差異が見られる. 又, この値は, 上, 中, 下肺野の順で大きくなる. 4)減衰量変動値による肺病変の診断は, 日令変化と肺野相関を考慮することにより可能となる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-04-01