妊娠ラットの蛋白質代謝に関する研究 : とくに母仔相関よりみた同化調節機序について
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概要
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妊娠蒔における母児の蛋白質代謝同化調節機序の一端を知るために, 非妊, 妊娠ラットのN出納, 体重増加量および蓄積N量を測定し, 同時に母, 仔肝および胎盤の aspartic transcarbamylase 活性, ornithine transamiinase 活性を測定した.さらに, 妊娠ラットを低蛋白質飼料で飼育した際の影響についても同様項目を測定し, 以下の結果が得られた. 1. 妊娠ラットの摂取N量, 総排液N量はともに増加したが, N平衡はつねに陽性平衡にあり, 蓄積N量は1日平均約100?であつた.尿素窒素およびクレアチニンの排泄量は尿中排泄N量と相似したパターンで増加した. 2. aspartic transcarbamylase 活性は, 母体肝では非妊値2.55単位よりやや減少したが, 妊娠時の肝増大を考慮すると, その機能はむしろ亢進していると考えられた.母体肝に比べ, 胎仔肝では5.5単位と著しく高かつたが, 胎盤の活性は低かつた. 3. ornithine transaminase 活性は, 母体肝ではやや増加したにすぎないが, 肝の増大を考慮すると著しい機能亢進が考えられた.胎仔肝は在胎晩期に活性が増加し, 胎盤では逆に晩期になつて減少した.4.飼料N含有率の規制による影響については, 体重増加量は母体のみが影響をうけたが, 蓄積N量, 酵素活性の面では, 母, 仔の両者ともにその影響がみられた.この影響の程度は, 母体では大きく, 胎仔側では小さかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-12-01
著者
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