新生児尿中の16α-hydroxylated Δ^5 steroidについて
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概要
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妊娠時は極めて特異的な血中ならびに尿中ステロイドホルモン動態をみるが, これは胎児胎盤, 母体系における各内分泌器官の有機的な連関関係がインテグレートされた結果であるとされている. したがつてこれらの相互作用を明らかにするためには, まず胎児, 胎盤, 母体間の各compartmentについて, それぞれその機能を理解することが肝要である. よつて著者は妊娠時のステロイド生成代謝過程に於て占める胎児内分泌器官の役割を明らかにするため, 新生児の尿中ステロイド動態を追及して次のごとき結果を得た. 1)新生児の尿中DHA排泄量は生後第1日目が44.31μg/日であり, 以後漸増し3日で104.84μgとなりピークに達し, 以後漸減して7日目で51.23μgとなつた. 2)16α-OH DHA排泄量は第1日目が567.30μgで, 以後漸増し, 3日で666.23μgとなりピークに達し, 以後漸減して, 7日で234, 35μgとなつた. 3)16α-OH pregnenolone排泄量は第1日目が1,084.59μgであり以後漸増し, 3日で1,289.63μgとなりピークに達し, 以後漸減して7日で451.60μgとなつた. よつて以上の成績と文献的な考察などにより妊娠時の胎児内分泌器官は, 特異なΔ^5ステロイドの生成分泌を常なみ, またこれに関連して16α-hydroxylationが盛んであることが強く推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-11-01
著者
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