産科的低線維素原血症の発生機序に関する実験的研究
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概要
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産科的低線維素原血症の発生機序に関しては, thromboplastin-intoxication説, 線溶亢進説等の研究があるが, 臨床的には充分に説明し得ない症例がある. そこで, 著者は, 従来の報告例, 及び著者が経験した症例を再検討し, 本症が発生する条件として, 子宮内圧の病的上昇と子宮内組織変性が同時に起つた場合に, 発生している事を見い出した. この子宮内圧の病的上昇と子宮内組織変性を家兎に起こさせ, 低線維素原血症を発生せしめることが出来た. I. 子宮内圧が上昇した場合には, 上昇していない場合に比して, 血中fibrinogen量の低下が著明である. II. 変性胎盤は正常胎盤に比し, protease actionを有し, このproteaseは著明な血液凝固促進作用も併せ持ち, 胎盤に存在するthromboplastinと同程度に血液凝固を促進させる. III. 妊娠家兎を用いた動物実験で, 子宮内圧上昇と子宮内組織変性を同時に起こさせると, 全例に著明な低線維素原血症を発生させる事が出来た. 以上の事から, 産科的低線維素原血症の発生に, 子宮内圧上昇と子宮内組織変性が関与すると結論し得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-11-01
著者
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