細胞外導出によるラットの生体内子宮筋電の生殖過程における変動について
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概要
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ラットの生体内子宮は, 正常の生殖過程を通じて, それ自体の内分泌環境や神経支配のもとに, 形態的, 組織的変化や機械的活動を営んでいるが, その際に, 自発性の子宮筋電が, どのような様相で生起しているかを知るために, 急性実験で細胞外導出法による子宮筋電を検出し, 下記の実験成績を得た. 正常の性周期をもつラット子宮では, 発情前期から発情期にかけて, 明瞭な一連の spike 放電 (放電時間30〜40秒)が, ある放電群間隔 (40〜45秒程度)を保ちながら出現した. 発情後期, 静止期にも一応自発放電は観察できたが, 不規則であり, 発情期のそれとは著しい差異があった. 去勢ラットの子宮筋電図でも不規則, 不安定ではあるが自発放電を記録する事ができた. 幼若ラットで, 周期的な内分泌変動がない場合でも, 自発放電の発生は明らかに記録できた. 妊娠ラット, 分娩ラット, の生体内子宮は, 非妊娠時とは異なった内分泌環境にあるが, 妊娠日数経過につれて, 子宮体の子宮筋電図は, 一連の spike 放電がある放電群間隔をおいて, ほぼ規則的に自発放電していることが観察された. 2導出で, 子宮体と胎盤辺縁部の子宮筋電図を比較すると多少の差異はあるが殆ど同様な自発放電の様相を示した. 胎盤辺縁部と胎盤部との子宮筋電図間では活動電位の低電圧, 一連の spike 放電時間の短縮などの若干の差異を示した. これが決定的な差異であるかどうかは不明瞭である. しかし, 妊娠末期では, 胎盤部でも, 子宮体の子宮筋電と同様の自発放電を示した. また, いずれの場合でも oxytocin 投与には良く反応し, 一連の spike 放電の頻発と放電群間隔の短縮をみた. 産褥ラットの生体内子宮の筋電図は, 産褥7日目頃は静止期あるいは, 去勢時に似ているが, それ以降には一連の spike 放電を自発している例があった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-01-01
著者
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