子宮頚部早期癌の臨床病理学的研究 (円錐切除後大割切片連切法による)
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概要
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岡山大学医学部附属病院産婦人科を訪れ, 細胞診, 腟拡大鏡診, 狙い組織診の三者併用診により子宮頚部早期癌を疑い, 円錐切除術を施行し連切組織診の結果上皮内癌19, 初期間質内浸潤癌6, 微癌6と判明した31例につき病巣復構を行ない病巣の占居部位, 拡がり, 周辺像及円錐切除術後の遺残病巣につき臨床病理学的見地より検討し次の事項を認めた. 1) 病巣占居は左側後唇, 右側後層, 左側前唇, 右側前唇の順で, 組織学的扁平円柱上皮接合を中心として扁平上皮域5mm, 円柱上皮域15mm以内に97.8%がある. 2) 癌浸潤は上皮内癌像の中に極微散在性に認められ, 上皮内癌の占居部位が広くなるにつれて癌浸潤の程度はすすみ浸潤癌は上皮内癌を経過してゆくものと考えられる. 3) 病巣周辺に異型上皮を認めるものが71%あり, 病巣部は頚管内円柱上皮とは, 直接に, 子宮腟部扁平上皮とは, 異型上皮を介して接するものが多く, 又病巣部基底膜下に隣接する上皮部より小円形細胞浸潤を強く認めるものが71%あった. 4) 細胞診にて悪性細胞出現度は病巣の環状の拡がりが半周以上, 縦軸の拡がりが10.1mm以上となると高く, 又病巣の組織学的な占居部位よりは, 病巣が外子宮口より子宮腟部側にあるか否かに影響される傾向が認められた. 5) 円錐切除術後遣残を疑った13例のうち子宮全剔出術後の検索で6例に遺残を確認した. 6) 細胞診, 組織診ともに頚管内への注意が正診率を向上するので, 子宮頚部早期癌発見には頚管擦過細胞診, 頚管ソーハ組織診が必要である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-01-01
著者
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