血液成分・性状よりみたる新生児の母体外適応生理に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
最近新生児に関する関心が高まり, 活溌な研究がなされているが, その多くは, "新生児"という漠然とした概念の下に, 児固有の特性・特徴を充分考慮に入れておらず, いわゆる胎生期から新生児期にわたる児の発育・成長と密接な関連をもつ生活環境や母児両側の要因を充分考慮し, 出生後の児の母体外適応性の様相について詳細に検討したものは, われわれの教室における一連の業績をもつて初めてとするといつても過言ではない. わたくしは教室一連の新生児生理に関する研究の一環として, いわゆる新生児の母体外適応性について, 血液成分・性状の面から, 可及的検討を行なつたので, その知見を報告する. 1)血色素値: 帝切児・中毒症児で, 生後一定日数までは有意に低値をとることを認めた. 2)へマトクリット値: 早産未熟児・帝切児で有意に低く, 中毒症児・過期産児では有意の高値を示した. 3)網状赤血球数: 早産未熟児・帝切児・中毒症児で高値を認めた. 4)血漿蛋白値: 早産未熟児において著明な低値を示した. 5)血液尿素窒案値: 中毒症児における変動が最も著明で, 帝切児・未熟児の変動がこれに次いだ. 6)β-リポ蛋白値: 一般に成人値よりはるかに低値をとるが, 殊に, 帝切児・早産未熟児に著明の低値を認めた. 7)アルカリフォスファターゼ活性度: 過期産児で高値, 早産未熟児で低値を認めた. 8)トロンボテスト値: 未熟児・帝切児・中毒症児の順で低値を示した. VK_1 10mgを分娩前母体投与群に於けるトロンボテスト値の変動が最も有効と認めた. 9)臍帯血ガス分析では一般に高炭酸ガス血症・低酸素血症を示すが, 特に帝切児・仮死児において著明であり, 又pHの変化からはこれらの児にアチドージスの存在が推定された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-03-01
著者
関連論文
- 22.産科的要因よりみたる新生児心電図
- 29.産婦人科領域におけるX線映画法の応用
- 22.産科的要因よりみたる新生児心電図
- 血液成分・性状よりみたる新生児の母体外適応生理に関する研究
- 15. 子宮頸癌放射線治療法としての^Co篩照射法に関する研究
- 15.子宮癌放射線治療法としての^Co篩照射法に関する研究