ラット血管感受性に及ぼす性ホルモンの作用に関する研究
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概要
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多くの動物では,妊娠経過中にangiotensinII(A-II)に対し血管不応性があらわれるが,産褥に入ると急速に消失することが報告されている.本研究では,このA-IIに対する血管不応性に及ぼす性ホルモンの作用を解明するため,性ホルモン投与下の去勢ラットを用いて,renin,aldosterone,prostanoidsの変化と,A-IIに対する血管感受性に及ぼす影響とを検討した. 1.去勢無処置群(C群)にくらべestradiol benzoate投与群(E_2群),estradiol benzoateとprogesterone投与群(E_2P群)で有意なplasma renin activity,6-keto PGE_1α濃度の上昇と,外因性A-IIに対する血管不応性が認められた. 2.C群に比べprogesterone投与群(P群)で有意の変化が認められたのは,plasma aldosterone concentrationであつた. 3.麻酔下での4群間の基礎血圧に有意差は認められなかつた. 以上の結果より,妊娠時にあらわれるA-IIに対する血管感受性の鈍化には,妊娠中に急増するestrogenが少なくとも関与しており,またその作用はrenin-angiotensin-aldosterone系やvasodilatory prostaglandin系を介して惹起されることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-12-01
著者
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