胎児(仔)代謝のアシドーシスに対する耐性について : 成獣,胎仔および新生仔の灌流肝における実験的研究
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概要
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成獣,胎仔および新生仔モルモットの灌流肝において,灌流液のpHを7.40から6.50または6.00に変化させることによつて,実験的なアシドーシス環境をつくり,アシドーシス負荷前後におけるnorepinephrine(NE),lactate/pyruvate混合液(L/P),octanoate,ethanol,succinate注入による細胞内NAD還元率,組織酸素摂取速度および糖産生量を,それぞれ生体螢光法,ポーラログラフィー法および酵素法でin situ,in vivoで測定した. その結果, (1)正常pH灌流における成獣肝の薬剤注入による代謝反応を100%とすると,胎仔肝ではNE注入によるNAD還元率は64%,酸素摂取速度は46%,糖産生量は51%,L/P注入によるNAD還元率は33%,酸素摂取速度は60%,糖産生量は45%であつて,それぞれ成獣肝に比べて胎仔肝の代謝未熟性が示唆された. (2)灌流pHを6.5または6.0とするとpH7.4灌流の対照値に比較して,成獣肝ではNE注入に対するNAD還元率が76%または33%,酸素摂取速度が49%または46%,糖産生量が57%または7%にそれぞれ減少するのに対して,胎仔肝ではNAD還元率が148%または128%,酸素摂取速度が168%または163%,糖産生量が254%または221%にそれぞれ増加した.このような所見はL/P注入やL/P+NE注入でも同様であり,胎仔肝における細胞代謝,とくに細胞膜代謝のアシドーシスに対する耐性が示唆された. (3)新生仔肝では胎仔肝に比べて,NE注入による糖産生量が少なく,L/P注入による糖産生量が増大し,NADが酸化される点では異なるが,アシドーシスに対する耐性はなお残存していた. (4)胎仔肝や新生仔肝は成獣灌流肝に比べてoctanoateやethanol注入に対する代謝反応が減弱し,胎仔や新生仔における代謝未熟性が示唆されたが,代謝環境を酸性にすることによつて代謝反応がenhanceされることが観察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-12-01
著者
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