分娩体位が児の第一啼泣発現時間および臍帯血ガス分析値に及ぼす影響
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概要
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座位分娩209例と仰臥位分娩54例に対し,児の第一啼泣発現時間の測定ならびに臍帯血ガス分析を行った.さらに分娩体位による差異の原因を検討する目的で,分娩直前母体動脈血114例および満期妊婦動脈血50例のガス分析を行い,体位別に比較した.これらより,分娩体位が児に対し,いかなる生理学的影響を及ぼすかを明らかにした.(1)座位分娩は仰臥位分娩より児の第一啼泣発現時間の短縮がみられ,臍帯血ガス分析値もすべての指標で有意に良好であった.(2)児の第一啼泣発現時間の短縮は臍帯血ガス分析値との相関結果から良好なsignであることが裏付げられた.(3)満期妊婦9児娩出直前産婦共に体位による動脈血ガス値に差異はみられなかった.以上のことから,児の第一啼泣発現時間および臍帯血ガス分析値の体位による差は分娩時の母体呼吸生理の差異に基づくものではなく,胎児・胎盤循環への好影響あるいは分娩第二期の短縮を招来した結果などによると推察される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-01-01