実験的IUGRにおける肝アンモニア代謝調節 : 特にピリミジン体合成系酵素と尿素サイクル関連酵素について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ラットを用い飢餓あるいは片側子宮動脈結紮法により室験的子宮内発育遅延仔(IUGR仔)を作製し,胎仔肝臓におけるピリミジン体合成系(de novo pathway)アンモニア代謝系の各酵素活性及び中間代謝産物を測定し,次の結果を得た.1)アンモニア代謝におけるIUGR仔の肝 carbamyl phosphate synthetase ?(CPS?)活性は,妊娠20日目の対照群に比較して有意に低値を示した.2)ピリミジン体合成系(de novo pathway)としての肝 carbamyl phosphate synthetase ?(CPS?)活性,aspartate transcarbamylase(ATC)活性はIUGR群の方が対照群に比較して有意に高値を示した.3)IUGR仔の肝オロト酸量は,CPS?及びATC比活性の上昇にもかかわらず対照群に比較して有意に低値であった.以上,各酵素活性及び中間代謝産物の測定より,IUGRではピリミジン体合成系の中間代謝産物であるオロト酸の生成量が著しく減少しているにもかかわらずCPS?及びATC活性は上昇するという言わばparadoxicalなパターンを示した.一方アンモニアの異化という観点からみると,IUGR仔ではアンモニアの尿素サイクルヘの導入量が低下しており,尿素サイクル系は正常発育群に比べより未熟であると考えられた.すなわち,対照群(正常発育群)では,胎生末期から出生当日にかけてピリミジン体合成系と尿素サイクルに関連する各酵素活性の間にはCPS?からCPS?への比活性の転換が認められるが,IUGR仔では,これらの酵素活性の転換が遅延または障害された状態にあり,酵素的にも未熟であると推定される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-01-01
著者
関連論文
- 267. 児発育における肝アンモニア代謝酵素のontogenesis : 特に核酸合成系と尿素サイクルについて : 第44群 胎児・新生児 II (262〜268)
- 83.胎内発育遅延(IUGR)におけるポリアミン代謝に関する研究 : 特にOrnithine Decarboxylase(ODC),Putrescineの胎仔発育における意義について : 第14群 胎児・新生児 IV (79〜84)
- 実験的IUGRにおける肝アンモニア代謝調節 : 特にピリミジン体合成系酵素と尿素サイクル関連酵素について