ラット胎仔および新生仔の発育過程におけるタウリンおよびその他の含硫アミノ酸濃度の変動

概要

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周産期におけるタウリンの代謝を検討するために,ラット全胎仔,胎仔肝,新生仔肝,母体肝,胎盤のタウリンたらびにその前駆物質である含硫アミノ酸濃度をアミノ酸自動分析計を使用して測定した.ラット胎仔肝および胎盤においてタウリンは最も高濃度に存在する遊離アミノ酸であった.ラット胎仔肝におけるタウリン濃度は発育に伴い著しい増加を示し,生後1日目には,胎齢15日目のほぼ4倍の濃度を示し,成熟ラット肝と同様の値となった.また胎仔一匹あたりのタウリン含量は,発育に伴い著明に増加し,胎齢21日目には30.7μmolesとほぼ成熟肝に匹敵するタウリン含量となった.胎盤のタウリン濃度も胎齢に伴い増加し,胎齢21日目には胎齢15日目の約2倍の濃度となった.一方,それとは逆に母体肝のタウリン濃度は妊娠に伴い減少し,妊娠21日目には,妊娠15日目の約3分の1の濃度とたった.しかし,いずれの臓器においてもタウリンの前駆物質であるメチオニン,シスクチオン,システインの濃度は低く,胎齢に伴う変動は認められなかった.以上の結果より,胎仔の著しいタウリン含量の増加に対し,母体肝は胎仔へのタウリンの供給源となっている可能性が示唆された.
1984-03-01