側視型頚管内視鏡(cervicoscopy)による子宮頚管内病変の検索 : 治療縮小化における有用性
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概要
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子宮頚管内病変の検索はUCF症例の多い高齢患者の増加あるいは厳密な円錐切除診の適応判定の面から,極めて重要な問題になつてきているが,現在尚有力な検索方法はない.今回,側視型のContactpan-endomicroscopyをcervicoscopy(頚管内視鏡)として用い,その診断的価値と有用性につき検討を行い,以下の結果を得た.尚対象は1980年1月から2年間,当科を受診した子宮頚癌またはその疑いのあつたもの127例である.1)cervicoscopyによつて観察し得る最も有用な所見は頚管内の血管像であつた.そして正常所見は2型に,異常所見はその形態変化の程度の弱いものから強いものまで6型に分類することができた.2)異常所見の出現頻度を腫瘍性病変の進行度別にみると,頚管内に初期浸潤癌以上の病変を有する場合は1〜6型まで種々の異常所見がみられるが,なかでも異常の程度が強い5型(green asparaqus-like vessel),6型(root-like vessel)が高頻度に出現した(初期浸潤癌:5型16.7%,6型55.6%,浸潤癌:5型45.0%,6型85.0%).CISでは1〜4型,dysplasiaでは1〜2型のみしか認められなかつた.3)cervicoscopyにて頚管内腫瘍性病変(dysplasia high degree以上)の有無判定を試み,組織学的所見との一致率をみたところ,CIS以下の病変では55.6%であつたが,初期浸潤癌以上では90.0%と良好な成績を得た.4)Pap.異常または生検でdysplasia以上を認めたがUCFであつたもの40例について,cervicoscopy判定による円切診削減を試みたところ,47.5%(19/40)を省略することができた.円錐切除診省略例で治療手術後により進んだ病変を認めたものは15.8%(3/19)であつた(1例はCIS,2例は5mm以内の浸潤癌).円切診施行例でのそれは57.1%(12/21)であり,円切診必要とした判定は妥当と考えられた.従来ではこれらのUCF例が全例円切診の適応であつたが,本cervicoscopy検査によつて,安全かつ高率に円切診を省略することが可能となつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
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