EstradiolおよびProgesterone投与下ラット単離脂肪細胞のGlucose酸化作用およびInsulin受容体
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概要
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5〜7週齢のWister系ラットを用い,estradiol(0.002mg/day)を雄(n=6),去勢(n=8)ラットに,またprogesterone(0.05mg/day)を雄(n=9),雌(n=6),卵巣摘除(n=8)ラットに,estradiol(0.002mg/day)+progesterone(0.05mg/day)を雄(n=7),卵巣摘除(n=8)ラットにそれぞれ5日間皮下投与した.なおそれぞれに対応するコントロール群には,sesame oil(100μl/day)を同時に平行し投与した.これらラットの副睾丸または子宮周囲脂肪組織より調製した単離脂肪細胞を用いて,glucose酸化に対するinsulin作用および,insulin受容体(IR)について検討し,以下の様な成績を得た.(1)各性ホルモン投与群とコントロール群の間に,体重,cell diameter,摂食量,血中immunoreactive insulin(IRI),血糖において有意な差は認められなかった.(2)glucose酸化に対するinsulin作用に関しては,estradiol投与で,雄ラットにおいてコントロール群に比べinsulinに対する反応性の有意の低下を認めたが,卵巣摘除ラットにおいては変化は認められなかった.progesterone投与では,雌ラットにおいて,insulinに対する反応性の有意の低下を認めたが,雄,卵巣摘除ラットにおいては,変化を認めなかった.estradiol+progesterone投与においては,雄および卵巣摘除ラット群とも,コントロール群に比べinsulinに対する反応性の有意の低下を認めた.(3)37℃,90分間または24℃,60分間のincubation下における^<125>I-insulin結合率は,性ホルモン投与により有意な変化を認めなかった.以上の実験成績より,1)雄ラットではestradiol単独投与でもinsulin低抗性が生ずる.2)雌ラットではprogesterone投与でinsulin低抗性が生ずるが,基礎にestradiolの存在が不可欠である.3)estradiolあるいはprogesteroneによって生ずるinsulin低抗性は,IR以後の細胞内過程の変化により生ずる.4)妊娠のinsulin低抗性増大の原因の一つはprogesteroneであると推測される.の4項が結論され,妊娠時にみられるinsulin低抗性に性ステロイドホルモンが関与している事実が示唆された.
- 1983-04-01
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