子宮頚癌の蔓延に関与するHigh Risk因子についての研究
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概要
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子宮頚癌の蔓延に関して治療前に把握し得る因子を探求することを目的として,最も臨床的に応用し得る臨床病理学的パラメーターにつきその意義を検討し,次の成績を得た.1)Virchow節転移陽性例では,初回治療前の原発巣生検標本について組織学的に検討した。細胞形態に組織構築像を地味した組織分類では,lobularタイプ(60.0%),CPL分類L型(63.3%),間質反応軽度群(80.0%),癌胞巣大型(56.7%),癌胞巣の問質との結合性が疎(83.4%)を示すものがそれぞれ過半数以上を占めることを認めた.またVirchow節の癌転移巣では,73.3%がcomedoタイプを呈し癌の進展と共にその割合が漸増する傾向を認めた.臨床所見では,熱型,血沈,CRPの3項目のうち1つ以上が陽性であるものが80.0%にみられた.これら臨床病理学的パラメーターをhigh risk因子とし,以下の検討を加えた.2)臨床進行期Ib,IIa,IIb期の手術例で,骨盤リンパ節転移陽性例では,転移陰性例に比較して組織型でcomedoタイプ,CPL分類L型,間質との結合性が疎であるもの,また臨床的パラメーターでは1つ以上の陽性例が何れも高率であった(p<0.001).3)臨床進行期Ib,IIa,IIb期の放射線例で5年以内の死亡例では,5年生存例に比較して組織型でlobularタイプ(p<0.01),問質との結合性疎(p<0.001),臨床的パラメーターで1つ以上陽性例(p<0.01)であるものが多数を占めた.4)特に重要と考えられたhigh risk因子3項目に対し点数配分を行い,総合点を比較したところ,各群とも対照例に比較して有意差(p<0.001)をもって高点数である結果を得た.以上の結果より,癌のもつ生物学的特性と担癌生体の示す反応とに重点をおいた今回の臨床病理学的パラメーターの幾つかは,現時点における癌蔓延に関するhigh risk因子として評価しうる成績を得た
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-12-01
著者
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