卵巣上皮性悪性腫瘍におけるNucleolar Organizer Regions測定による細胞増殖能の解析
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概要
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上皮性卵巣癌72例を対象に, ホルマリン固定標本を使用し argyrophilic nucleolar organizer region (AgNOR)染色によるnuclelar organiganizer regions(NORs)の核内出現パターンを分析した. そして, NORsをその細胞核内の形態学的変化から細胞周期のS, M, G_1期に分類し, M期はさらにprophase(p期), meta phase(m期), telophase(t期)に細分類して細胞増殖能と予後との関連を解析した. 全細胞周期に対するM期の割合(M期細胞数/全細胞数×100)を細胞増殖指数(cell proliferation index:CPI)とした. CPI値は, 組織型別では明細胞腺癌84,1%, 漿液性腺癌82.5%, 粘液性腺癌65.6%, 類内膜腺癌56.4%で, 臨床進行期別ではII期75.7%, III期83.6%, IV期83.7%であった. また, 漿液性腺癌の組織分化度別のCPI値は, 高分化型69.3%, 中分化型84.5%, 低分化型87.2%であった. CPI値が76.5%未満と76.5%以上の5年生存率は, それぞれ81.7%と28.2%でCPI高値の群で予後不良であった(p<0.01). また, 活動性増殖指数(active proliferation index:API)を(p期細胞数/G_1期細胞数)で算出し, 細胞動態の変化を検討した. API値は, 組織型別では明細胞腺癌2.2, 漿液性腺癌1.4, 粘液性腺癌0.8, 類内膜腺癌0.7で, 臨床進行期別ではII期1.1, III期1.5, IV期1.4であった. 漿液性腺癌の組織分化度別のAPI値は, 高分化型0.8,中分化型1.5, 低分化型1.8であった. API値が1.0未満と1.0以上の5年生存率は, それぞれ78.1%と30.9%でAPI高値の群で予後不良であった(p<0.05). このように, 卵巣癌におけるNORs測定によるCPI値およびAPI値は, 細胞増殖の面から組織学的予後を反映し, 簡便に分析できる因子として臨床上有用であることが明らかとなった.
- 1999-01-01
著者
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