自然排卵周期における子宮内膜超音波像の変化と血中estradiol,progesteroneとの関係
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概要
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自然排卵周期を有する15例を対象に, 経腔超音波断層法を用いて子宮内膜の厚さおよび輝度の変化を経日的に観察し, それらと血中 estradiol-17β(estradiol と略す), progesterone との関係を検討した. 子宮内膜の厚さは排卵の8日前には5.8±1.8mm(mean±SD)であったが, 卵胞期には経日的に増加し, 排卵日には10.7±2.9mmとなり, 黄体期には厚さの変化はほとんど認めなかった. また排卵の2日前までの子宮内膜の厚さは全体として血中 estradiol 値と正の相関を認めたが(r=0.64, n=89, p < 0.01), 症例別に検討した方が相関係数はより高いことが示された. また回帰直線の傾きは, 個々の症例で広い範囲に分布しており, estradiol に対する子宮内膜の反応性は個体差が大きいことが示された. 次に子宮内膜の輝度の変化を経日的に観察すると, 卵胞期後期より内膜の基底層の部分から高輝度となり, 黄体期初期にかけてその高輝度部分 hyperechoic endometrial area (HEA) は子宮内腔に向けて広がることが認められた. そして子宮内膜の厚さに対する HEA の厚さの割合 (HEA ratio) は, 排卵日には34.3±11.0%(mean±SD), 排卵後5日には74.7±12.4%となり, 排卵後9日には100%となった. また排卵前2日より排卵後9日までの HEA ratio は, 血中 progesterone 値と正の相関 (r=0.68, n=91, p < 0.01) を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-11-01
著者
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