家兎VX-2腫瘍卵巣癌モデルにおける内因性TNF誘導療法の治療効果
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概要
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VX-2腫瘍による卵巣癌モデルを作製し, 内因性 TNF 誘導療法を中心とした療法を行った. 成熟家兎右卵巣に VX-2腫瘍を移植後5日目から OK-432 0.3KE-OK-432 3KE 投与 (OK-OK群), OK-OK と CDDP 併用 (OK-OK・CDDP 併用群), 百日咳菌液単独投与 (Bordetella pertussis vaccine:BPV 群) の各療法を行い, 得られた抗腫瘍効果を大網切除群と未治療 (対照) 群と比較した. 各療法群別による抗腫瘍効果を検討すると, (1) 卵巣の移植病巣では, OK-OK 群が対照群に比して28.7%縮小したが, CDDP と併用するとさらに67.3%と各群中最大の腫瘍縮小効果が得られた. BPV 群は39.7%腫瘍を縮小した. さらに, BPV 群では, 卵巣腫瘍内に TNF の局在を証明した. (2) 転移巣に対する効果は, 大網切除群で全例に血行性転移である肺転移巣が観察されたが, 癌性腹膜炎の発症は予防できた. OK-OK 群では, 肺転移巣を未治療群に比し有意に抑制 (70%) する結果が得られた. これに CDDP を併用すると肺転移抑制効果がさらに有意に増大した. OK-OK 群および OK-OK・CDDP 併用群いずれも, 血清中に TNF が誘導された. BPV 単独群では初回治療から血清中により高い TNF 活性が誘導されたが, 肺転移巣抑制効果は, 対照群に比し32.8%にとどまった. 以上の研究成績より, 進行および再発性卵巣癌に対して内因性に TNF を誘導することを目的とする BRM 療法は, 原発巣および転移巣に対してともに有効な抗腫瘍療法であると思われた. したがって, 本法と既存の療法とを併用すれば, 進行した卵巣癌の予後の改善が得られると期待される.
- 1990-11-01
著者
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