28pYE-5 分子動力学法に基づく金属磁性体の磁気構造理論
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概要
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Cr,Mn,γ-Feなどのhalf-filledに近い鉄族遷移金属およびそれらの合金では, スピングラス, ノンコリニア磁性, 多段磁気相転移の複雑で特異な磁気構造と磁性を示すことが知られている. これらの多様な磁気構造と磁性は, 金属特有の複雑なバンド構造や長距離強磁性反強磁性相互作用の競合に起因しているため, 理論的取り扱いや体系化が難しい. 従来の理論的研究では, 考えられるいくつかの磁気構造と仮定してそれらのエネルギー比較をするか, 既に見いだされている秩序パラメーターを導入してエネルギーを最小化する等の方法がとられてきた. しかし, 磁気構造が複雑で直観的に予想出来ない場合やスピングラス系のように自由エネルギーの極小が多数存在する場合には, これらの方法でグローバルな安定構造を求めることは難しい. 我々は, このような問題を解決する一つの有力な方法として, 秩序パラメータや系の磁気構造と仮定せずに金属磁性体の磁気構造を自動的に決定できる分子動力学(MD)理論を提案し, それが上述の遍歴電子系において有効であることを示してきた. この講演ではMD理論の概略と, 実際にγ-Mn, γ-Fe, Fe-Cr, Fe-Cr-Mnなどに適用して得られた新しい結果について報告する(γ-Fe-Mnについては佐久間氏の講演概要YE-3を参照されたい).
- 社団法人日本物理学会の論文
- 2001-03-09
著者
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