家兎VX2移植卵巣腫瘍におけるCis-Diamminedichloroplatinum(CDDP)腹腔内投与後の血流動態と腫瘍血管の変化

概要

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家兎VX2移植卵巣腫瘍を用いcis-diamminedichloroplatinum (CDDP) 腹腔内投与後の腫瘍血管およびAngiotensin II昇圧下での血流動態の変化を検討した. 日本白色種雌家兎にVX2移植腫瘍を作製し, CDDP 15mg/kgを腹腔内投与後組織内platinum (Pt) 濃度を測定した. MICROFILを注入した腫瘍血管modelを作製し, CDDP投与群の腫瘍血管の変化を観察した. また, dynamic studyにより同群の昇圧下での血流動態の変化をみた. CDDP単独投与によりVX2移植卵巣腫瘍に18.50±8.05μg/gと高い組織内Pt濃度を認めた. また, Sodium thiosulfate (STS) 投与の有無に関わらずCDDP投与2週間後にVX2腫瘍外側部のviableな部分に壊死巣が出現した. CDDP投与群の正常血圧下での腫瘍time-density curveは, washoutが著明に遅延し, また, 血管modelでは30μm以下の微小血管が減少し, hypovascularな部分が広範囲に存在した. しかし, 昇圧下では, time-density curveのpeak値が増加し, 排泄相におけるwashoutも認められた. 以上より, CDDP腹腔内投与によつて生じた腫瘍内の循環障害は, Angiotensin II昇圧下で改善するものと考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1993-05-01